広告代理店国内第2位のシェアを誇る博報堂。 大手メーカーをはじめ数々の企業の広告を手掛けている博報堂の仕事は、営業が提案を通し案件を獲得したところから始まります。 今回は、博報堂で営業職をしていた筆者の目線で、その実態をお伝えしていきます。 |
目次
博報堂の営業の仕事内容
博報堂でいう「営業」の仕事内容についてご紹介します。
博報堂の社員は大きく「営業」と「スタッフ」の2つに分けられます。
- 営業:クライアントと日々直接やりとりをする職種
- スタッフ:営業が持ってきた案件を実現させるために社内で動く、マーケティングやクリエイティブなどの職種
厳密な取り決めはありませんが、基本的にはマーケティングやクリエイティブのスタッフは、クライアントと密に連携することはありません。
仕事を取ってくるのは営業の仕事です。そういった点では、営業は博報堂の稼ぎ頭とも言えます。
クライアントについて
博報堂と取引のあるクライアントの数は多く、非常に知名度の高い国内メーカー、スタートアップやベンチャーまで、その規模はさまざまです。
基本的には、クライアントが大手企業の方が広告予算も大きく、社内の売上シェアも高いです。
そのため、大手企業を担当する部署ほど、在籍人数が多い傾向にあります。
その場合は、1つのクライアントを50人前後の営業で担当します。
一方で会社の規模が小さい場合は、1つの部署で沢山のクライアントを抱えます。
1人で5つほどのクライアントを持つケースが多いです。
新規顧客の獲得はどの部署でも随時行われてはいますが、クライアントの規模が小さい部署ほどその動きは顕著で、電話などで新規開拓をすることもあります。
それ以外は、基本的には予め決められた固定のクライアントと仕事をする形が一般的です。
ノルマについて
ノルマは、あまり厳しくありませんでした。
私は大手クライアントからスタートアップクライアントまで3つの部署を経験したのですが、ノルマについてしつこく言われる雰囲気はどこの部署でもありませんでした。
しかしながら、当然部署全体の予算目標はあり、クオーターごとに開示されるので、月々の売上をしっかり立てることは求められます。
ただ、個人に課せられるノルマとしての金額はなかったので、売上や案件数よりも、クライアントと信頼関係を築けているか、丁寧で面白い仕事をしているかどうかが見られていました。
例えば、連絡のこまめさはかなり大切だと思います。
博報堂の営業の仕事は、クライアントや関連会社など非常に多くの人と関わる仕事です。
そして基本的に、発注側と受注側の間で業務を回す仕事のため、関わる人間それぞれの利害関係が異なることが多いです。
そのため、多方面と緻密に連絡をとり、どの立場の人にもストレスを感じさせないことが、トラブル防止や信頼失墜の防止に繋がるのです。
これに加えて、博報堂の営業には今までになかったような真新しいアイデアを形にすることも求められます。
そのためには、クライアントから正式に依頼された案件を実行するだけでなく、自主提案の腕も磨く必要があるのです。
博報堂のスタイル
博報堂のスタイルとして有名ですが、面白いアイデアは打ち合わせ中のフリートークや、会食などの飲み会の雑談で生まれることも多いです。
それが膨らんで、正式実施へと繋がっていきます。
その点でも、日頃から丁寧にコミュニケーションをとり、クライアント・関連会社との信頼を築いている人は、アイデアも浮かびやすいし、実行もしやすいのです。
自主提案は、クライアントからお題が出る提案とは違って受注の確率も下がるので、営業収入に結びつかないケースも少なくないですが、斬新な提案を続ける業務姿勢そのものを評価してくれる部署長が意外と多かったように思います。
また、部署によっては、クライアントが博報堂の営業を評価するシステムがある場合もあります。
そのような部署では、直接クライアントから自主提案の回数を評価されることもあるそうです。
お金という指標だけでなく、担当営業の姿勢そのものが評価される環境は、比較的整っていたと思います。
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1日の仕事の流れ
では、実際に博報堂の社員がどのような流れで1日を過ごすか
とある1日の例を筆者の経験を元に解説します。
出社
部署によりますが、10時頃になるとほとんどの社員が出社しています。
しかし、
- 多くの社員が裁量労働制であること
- 夜型の仕事スタイルの人が多いこと
- 会食が多いこと
などから、出社が遅くなってもとやかく言われない雰囲気があります。
日中
クライアントと打ち合わせをしたり、日によっては1日中撮影や編集に立ち会ったりと、外出する機会が多いのが営業の特徴です。
一方で、案件を進めるには社内で打ち合わせをする必要があり、また、資料を作る必要もあります。
総じて仕事量が多く、大勢の人と関わりながら仕事をこなしていきます。
退社or会食
忙しさや働き方改革の進み具合が部署によってまちまちなので、こちらも一概には言えませんが、おおよそ20時~22時あたりに退社する人が多いように思います。
営業職はお付き合いの会食も多く、社内飲みが多い文化があるので、夜まで予定が詰まっている社員が多いように思います。
中途入社した営業のキャリアパス
では、博報堂の営業はどのようなキャリアパスをたどっていくのでしょうか。
筆者の実際の経験を元にお伝えします。
入社直後の仕事や研修
入社後は、同時期の入社メンバーでのオリエンテーションと研修があります。
営業研修は基本的には1日で、社内の部署構造や、システムの基礎的な使用方法、クリエイティブや営業などの各分野の仕事内容などのレクチャーを受けます。
その後、実際に配属先の部署に行きます。
配属後は研修という形ではなく、現場で実際に業務にあたるケースが多いです。
所属するチームのメンバーと仕事をする中で、業務を理解していくスタイルです。
2年目以降
実際に業務を回しクライアントとの関係を築けると、自主提案をする機会も増えていきます。
クライアントとの何気ない会話の中で、課題点を見出し、提案して案件を作ります。
2年目以降は、このような自主的なスタンスが期待されます。
昇進後の働き方
部署長に昇進すると、現場の仕事はほとんどなく、現場の仕事の管理にまわります。
ただ、広告業界では礼儀が重んじられる雰囲気があるので、大切な商談などに部署長が同席するケースも多いです。
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博報堂の営業部の魅力
ここでは、博報堂の営業部ならではの魅力についてお伝えします。
個人の業績に応じたインセンティブの仕組み
博報堂は年俸制の給与体系で、その年俸は個人の査定ランクによって決まります。
この査定ランクは、半年に1回の面談で決まり、それに応じて、年俸と、ボーナスにおける個人追加付与額が変動する形です。
個人ではなくチームで動く文化があることもあり、個人の数字という概念はあまりなく、直接的なインセンティブのシステムはありませんでした。
とは言え、利益率の高い案件を遂行したり、担当商品が世間で話題になったりするなどの業績を出せば、しっかりと評価してもらえる環境でした。
働く環境
リモートワークについては、徐々に浸透してきている段階です(2019年11月時点)。
ただ、チームでコミュニケーションを取りながら業務を回すのが基本なので、大部分をリモートで行うことは根本的に難しいと思います。
それでも働き方改革の一環として、
- 外出先で社内のシステムを触れる
- 部署によってはクライアントの本社の近くにリモート用のオフィスを構えている
など、より無駄なく生活スタイルに合わせて仕事ができるように環境が整ってきています。
博報堂の営業で成長できる部分
クライアント、社内スタッフ、社外の制作会社や媒体社など、1つの案件に関わる人数が多いので、その指揮をうまくとり案件をまわす能力が培われます。
それぞれの立場によって利害関係も異なるので、クライアントにはこう伝える、制作会社にはこう伝える…など、立場に合わせた見せ方を工夫できるようになっていきます。
また、これは営業に限った話ではないのですが、博報堂にはユニークで優秀な人が多くいて、一緒に仕事をする中で刺激を受けられるのも素晴らしいポイントの1つです。
同期や周りではどんな経歴の人が活躍していたか
広告代理店の営業職は、特別なスキルというよりは前述の「調整力」や、「人柄」が重視される傾向にあります。
そのため、広告畑出身の人も一定数いましたが、保険会社やメーカーなど、さまざまな企業での営業経験がある人が在籍していました。
経歴に関わらず、人柄がよく丁寧な仕事ができる人が活躍していた印象です。
博報堂で活躍していた社員の事例
中堅の広告代理店から転職してきた同僚の活躍事例をお話しします。
彼は、28歳で転職、前職では衣料品メーカーの広告営業を担当していました。
そして博報堂では、食品メーカーの広告営業を担当。
前職と担当業界は違いましたが、基本的なノウハウはどのクライアントでも共通しているので、とてもスムーズに業務の指揮をとっていました。
また、彼の何よりの強みはその人脈でした。
広告業界では、制作会社やテレビ局などの媒体社とかなりの頻度で関わります。
それはどの代理店にいても同じなので、前職で一緒に仕事をして信頼を積み重ねてきた人たちを、博報堂の仕事にアサインしていました。
このように同じ広告業界出身だと、前職の人脈を活かして活躍する事例が多いです。
人と人のつながりが重視される業界の特性もあると思います。
人脈がしっかり築けていると仕事がしやすく、社内の評価にも結び付きやすいです。
営業の勤務規定
勤務地は基本的に赤坂にある本社ですが、大阪、名古屋、福岡に支社があり、地方都市には子会社もあるので、異動や出向の通達を受け取る可能性はあります。
ただ、支社へ異動する人数は少なく、ずっと東京で働き続ける人も多いです。
異動の通告が出れば本人の意思で拒否することなどは難しく、基本的には従う形になります。
とは言え、前述のように地方転勤になる人数の母数が少ないので、希望した人が行くだけで間に合うパターンも多いようです。
クライアントに直接お礼を言ってもらえるのは営業の醍醐味
博報堂の営業職について、実際に在籍していた私の目線で紹介してきました。
案件において、常に中心で指揮をとるのが営業職です。
関わる人数が多く、さまざまな対応に追われる大変さや難しさもありますが、クライアントに直接お礼を言ってもらえるのは、営業の醍醐味です。
この記事のまとめ
☑博報堂の社員はクライアントと日々直接やりとりをする「営業」とマーケティングやクリエイティブなどを行う「スタッフ」の2つに分けられる
☑仕事量は多いが厳しいノルマはない。働き方改革が進んでおり働きやすい環境が整いつつある
☑ユニークで優秀な人が多く、一緒に仕事をする中で刺激を受けられる
博報堂へ転職するには
博報堂への転職を実現する上で大切なポイントは、転職エージェントの利用です。転職エージェントならどこでも良いわけではなく、博報堂の内定実績を豊富に持つエージェントに相談するようにしましょう。 内定実績が豊富なエージェントは採用ターゲットを熟知していますし、過去の面接内容や面接官の情報に基づいた面接対策をしてくれるので内定確度が上がります。