広告代理店の業務は、主にクライアントの課題を広告関連のアイデアで解決していくことです。
クライアントの商品を、広告という手法で、新聞・雑誌・テレビなどの媒体にリリースするまでの全てを担います。 具体的な業務としては、対象商品の分析、ターゲットの選定、広告物の企画制作、掲載先の選定と売買などさまざまな業務がありますが、近年ではクライアントの新商品開発の企画、CSR事業の支援などさらに業務内容は多様化してきています。 それに加え、代理店自身で商品を持ったり、映画やイベント、アイドルグループなどのコンテンツを保有したりするようになっています。かつてはテレビ広告の収入が軸である業界でしたが、インターネットの台頭によりビジネスモデルが多角化し、各社が既存の枠にとらわれずに様々なことに手を広げ始めているのが現状です。 そのため、「面白そう」「ビジネスチャンスが広がりそう」という仕事であれば積極的にトライしようという風潮がある業界です。今回はそんな広告代理店業界の大手の一つ、博報堂の仕事内容についてそれぞれの職種の観点から詳しくお伝えします。 |
目次
株式会社博報堂/博報堂DYメディアパートナーズ社とは
株式会社博報堂は博報堂グループ全体の広告事業を、博報堂DYメディアパートナーズ社は博報堂グループのメディア事業を担っています。
メーカーなど、商品を保有する企業をクライアントに持ち「どんな戦略で広告を打つのか」のやり取りをするのが博報堂、一方でテレビ局や新聞社、出版社などの媒体社をクライアントに持ち広告枠のやり取りを行うのが博報堂DYメディアパートナーズです。
同じビルにあり常に密に関わるので、日頃は別会社であることを感じることは少ないのですが、他方への異動が出た場合「出向」という扱いになったり、ボーナスの形態が異なっていたりと、システム面においては別会社であることが顕著にわかります。
それぞれの社員のカラーとしては、もちろん部署にもよってかなり異なるので一概には言えないものの、博報堂DYメディアパートナーズの方が上下関係などの体育会系の雰囲気が残っている印象がありました。彼からが日々対峙する媒体社が、そのような古くからの企業体質を持つ傾向にあることが密接に関係していると思われます。
このように、仕事内容もカラーも異なるものの、両社とも、博報堂グループを支え続ける二本柱です。
株式会社 博報堂
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博報堂DYメディアパートナーズ
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事業内容
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博報堂グループ全体の広告業 | 博報堂グループのメディア事業 |
クライアント
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メーカーなど商品を保有する企業 | テレビ局、新聞社、出版社などの媒体社 |
博報堂への内定率TOPクラス Nさん
株式会社———
コンサルタント/スペシャリスト
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博報堂にはどんな職種がある?各職種の仕事内容を解説
博報堂には大きく「営業」、「マーケティング」、「制作」の仕事があります。
クライアントは商品またはサービスを保有する広義の「メーカー企業」、またはテレビ局や新聞社など媒体を保有する「媒体社」などですが、各職種でどのような業務が発生するのでしょうか。
ここからは実際に博報堂に在籍していた筆者が、それぞれの職種の仕事内容について解説していきます。
営業の仕事内容
クライアントと密に連携し、依頼に対応していくのが営業の仕事です。
・クライアントから具体的な依頼をもらうケース
・自分たちでクライアントの課題を見つけ、それに合う解決法を提案するケース
上記のような進め方が主流です。
クライアントとは毎日のようにやり取りを重ねるので、その中でいかに信頼を得て関係値を築くかが重要になります。
しかしクライアントへの対応業務は営業だけで行うのではありません。窓口は営業ですが、提案を形作るにあたっては、マーケティングやクリエイティブなどの専門部署と連携する必要があります。そのため、社内の各部署に掛け合い、業務の指示や管理など細かく配慮して案件を回していくディレクション力も必要になるのが、営業の仕事です。
営業の中途採用では何を重視しているか
営業は、クライアント目線でいうと「会社の顔」となる部署です。そのため、何より丁寧な対応ができる人材かどうかが見られます。その上で、どんな人からも好かれるような人当たりの良さや話しやすい雰囲気などは大きなプラスとして働くでしょう。
また、先述したように社内の様々な部署との調整が必要となります。クリエイティブやマーケティング部署など、様々な立場の人を取り仕切るので、
・それぞれの言い分を聞きつつ、スムーズに物事を進める器用さ
・緻密なスケジュール管理能力
が求められます。
そのため、中途採用の場では、丁寧な姿勢と好かれやすい印象を持たれると高ポイントです。また、経験という点では、代理店営業の経験はもちろんのこと、クライアントになりうる業界での経験を持っていると優遇されるかと思います。
マーケティングの仕事内容
営業サイドから降りてくる相談に対して、様々なデータを駆使して応えることがマーケティングの仕事です。電通や博報堂など、大手広告代理店では自社で膨大な生活者データ*を蓄積しています。そのデータをもとに、購買傾向や次の流行の兆しなどを言い当てていきます。
分析力はもちろん、データの先を見越して将来的な動きを予測する力も重要です。
案件によっては、例えば「次に流行する商品は◯◯だ」など商品先行で話を進めるケースもあります。この場合、主張したい結論に合わせたデータのピックアップや、消費者を納得させるための見せ方をクライアントに提案することも大切な能力の一つです。
*生活者データ…博報堂生活総合研究所による定点調査。現時点で26年分の生活者観測データを蓄積しており、その内容も約1,400項目とされている。
マーケティングの中途採用では、何を重視しているか
膨大なデータの中で、どの数値を拾ってどのような角度から見るか、というデータセンスが最も重視されます。データ関連の仕事経験がある場合は、単純なデータ処理経験ではなく、そのデータを用いた応用事例の経験をプッシュすることをおすすめします。
また前述したように、データの見方だけではなく、そのデータをもとにどんな考察を導き出すかも重要です。そのため、世の中の事象について幅広く知っておくことが必要です。
例えば、「なぜあれが流行っているの?」という問いにデータ的な根拠を持ち出して答えられるような洞察力をアピールすると高評価を得られるでしょう。
制作
営業からクリエイティブに関する依頼を受け、その依頼に応えるような提案を企画するのが制作の仕事です。アイデア出しなどの企画から、実際のコピーやグラフィックの制作までを担います。
クリエイティブの中でも、いくつかの部署に分かれており、それぞれの専門領域を担当します。実際にクライアントと接する機会は少ないですが、営業から伝え聞いたクライアントの課題を理解・分析し、クライアントも営業も思いつかないようなクリエイティブを打ち出していきます。
制作の中途採用では、何を重視しているか
最も実績が可視化される部署であるため、これまでの就業経験におけるクリエイティブの業務実績が重視されます。また、博報堂の制作は営業やマーケティングを含めた社内チームとのコミュニケーションが必須です。実績だけでなく、チームで仕事を進められるかどうか人柄も重視されるでしょう。
営業
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マーケティング
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制作
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仕事内容
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・クライアントと連携し依頼に対応 ・各部署との調整 |
・データの分析 ・将来的な動向の予測 |
・企画、コピー、グラフィックの制作 ・アイディア出しなど |
採用で重視していること
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・丁寧な対応ができるか ・人当たりの良さ、話しやすい雰囲気 ・スムーズに物事を進める器用さ ・スケジュール管理能力 |
・データの分析力 ・洞察力 |
・クリエイティブの業務実績 ・コミュニケーション能力 |
博報堂全体の入社前とのギャップ
「入社前に華やかなイメージを抱いていたが、実際はそうでもなかった」というのは社内でもよく聞く感想です。広告代理店のイメージ通り、芸能人と仕事をしたり派手な会食をすることは日常的にありますが、「ワクワクするのは最初の数年だけ」という人が多い印象です。
実際は、雑務に追われる日々が待っています。
しかし、そのような多忙さの中でクライアントとの信頼関係を築くことができるので、人に感謝されることに喜びを感じる人や、物事に貢献することが好きな人は非常に満足度の高い日々を送ることができるかと思います。
博報堂への内定率TOPクラス Nさん
株式会社———
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ルーティーンの遂行と調整の日々…筆者個人の体験談
私は大手メーカーの営業を担当していました。入社前は非常にクリエイティビティの高い業務内容が待っていることを期待していたのですが、実際は「ルーティンの遂行」と「調整」が主な業務でした。
クライアントとの定期ミーティングや、出稿広告の管理、売り上げへの効果測定と報告など、ルーティーンが山のようにありました。その合間を縫って、社内のマーケティングやクリエイティブのスタッフに仕事を依頼し、そのスケジュールの管理や調整を行う毎日でした。
また、一つの案件に携わる人数が非常に多いので、かけた時間の割りに自分がその案件に携わった感覚を得られないというギャップもありました。
「アイデアの下では皆平等」博報堂の仕事の進め方の特徴
案件に関わる全ての人を「チーム」と捉え、一丸となって進めていくのが博報堂の特徴です。
また、普段は上下関係のある社員同士でも、打ち合わせの場になると上下関係を取り払って意見を述べることができる雰囲気があります。「アイデアの下では皆平等」というフレーズもあり、新入社員もベテランも、良いと思えば良い、悪いと思えば悪いとコメントできる空気があります。
反対に、意見を持たないことが悪とされる価値観があります。正解のない仕事、むしろ正解を皆で作っていく仕事なので、自分のモノサシで自分の考えを抱けることが大切です。
さらに、その考えを言葉で伝える能力が重要視されます。誰もが「なんとなく」だと思っていることに対して「なぜ?」と問い続け、論理的に整理しながら、基本的にはチーム全体の打ち合わせの場で仕事が進んでいきます。
自身の業務経験の中から、博報堂の仕事に繋がるエッセンスを探してみよう
株式会社博報堂の仕事内容について、部署ごとの特徴や社風を軸に紹介しました。
冒頭にも書いたように、広告代理店という組織は、業務内容ごと大きく変化している時期です。
博報堂は歴史ある大手企業なので社風はかなり定まっているとは思いますが、世の中にアンテナを張り巡らせ、反対に新しい風を吹かせるような社員が期待されている時期なのも事実です。代理店のご経験がなくても全く問題はないので、ご自身の経験の中から仕事に繋がりそうなエッセンスを探し、面接時にアピールすることをおすすめします。
この記事のまとめ
☑博報堂には大きく「営業」「マーケティング」「制作」の仕事がある
☑広告代理店という組織は、業務内容ごと大きく変化している
☑世の中にアンテナを張り巡らせ、新しい風を吹かせるような社員が期待されている
筆者:ルン(ペンネーム)
経歴:出版業界、広告業界を経験したのち、2018年よりフリーライターとして活動中。
今回書いた企業との関係性:営業職として4年間在籍。
博報堂へ転職するには
博報堂への転職を実現する上で大切なポイントは、転職エージェントの利用です。転職エージェントならどこでも良いわけではなく、博報堂の内定実績を豊富に持つエージェントに相談するようにしましょう。 内定実績が豊富なエージェントは採用ターゲットを熟知していますし、過去の面接内容や面接官の情報に基づいた面接対策をしてくれるので内定確度が上がります。