あずさ監査法人の福利厚生は?住宅手当はなく、子育て支援が手厚い?

監査法人やコンサルティング会社は年収が高い分、一般的に「福利厚生の質が低い」と言われます。ただ、あずさ監査法人には約6,000人の職員が所属しており、大企業レベルの規模を誇っています。そのため大企業並みの福利厚生を期待する人も多いのではないでしょうか。

本記事では、元あずさ監査法人の社員が、福利厚生の実態を詳しく解説します。

 

あずさ監査法人の福利厚生一覧

あずさ監査法人の福利厚生を紹介します。

法定福利厚生6種

あずさ監査法人では法定福利厚生6種のうち、健康保険・厚生年金保険・雇用保険・労災保険が加入対象になっており、40歳以上の社員のみ前述の4つに加えて介護保険も加わり、月給からの天引きになります。

法定外福利10種

続いて、あずさ監査法人独自の福利厚生をご紹介いたします。

 

通勤・住宅関連

通勤手当は全額実費支給です。一方で住宅手当は一切ありません。

新幹線通勤に関しては、通勤距離が60キロ以上で、且つ月額15万円以内であれば、全額支給されます。2016年に所得税法の非課税枠が月額10万から15万円に増額されたため、あずさ監査法人の限度額も増額されました。

 

休暇

あずさ監査法人で付与される休暇には以下のものがあります。

 

年次有給休暇

毎年10月1日から翌年の9月30日までを対象に、10月1日に新規に有給が付与されます。有給休暇は年次毎に追加で付与され、年次が増える度に休暇日数も増えます。

付与された有給休暇を全て使用しなかった年は、余った日数をもう1年間繰り越しして使うことが可能です。

例:

・2年目=+11日
・3年目=+12日
・4年目=+14日
・5年目=+16日
・6年目=+18日
・7年目以降=+20日

中途入社者は、採用月に応じて付与されます。

例:

・10~3月=10日
・4月=5日
・5月=4日
・6月=3日
・7月=2日
・8月=1日
・9月=0日

・その他の休暇

他にも、以下の通りさまざまな休暇が用意されています。

リフレッシュ休暇
ボランティア活動休暇
裁判員等休暇
慶弔休暇
育児休業
介護休業

詳細をご説明します。

 

・リフレッシュ休暇
年次有給休暇とは別に、職員の肉体的、精神的疲労回復手段の一環として与えられる休暇です。部署ごとに、夏季(7~9月)期間中に一斉休暇日を定めます。
7月1日から翌年6月30日までを休暇年度とし、年間5日間が付与されます。次年度への繰越、他の休暇への振替は認められず、且つ取得は原則として1日単位です。

 

中途入社者は、採用月に応じて付与されます。

例:
・7~9月入社者…5日間
・10月~翌6月入社者…2日間

・ボランティア活動休暇
職員の社会貢献度活動支援の一環として与えられる休暇です。社会福祉、地域貢献、環境保護に関わる活動など、原則としてボランティアと一般的に認められる活動に限定されます。4月1日から翌年3月31日までを休暇年度として、年間1日が付与されます。
ボランティア休暇を取得する際には、事前申請が必要で、かつ取得後2週間以内に活動内容を報告しなければいけません。

・裁判員等休暇
裁判員候補者、裁判員又は検察審査員に選任された際に、同制度に参加し、その責務を果たす社会的責任の一環として与えられる休暇です。
裁判員休暇を取得するときは事前の届出を必要とし、事後に裁判所が発行する証明書等必要書類を提出しなければいけません。

・慶弔休暇
結婚や配偶者の出産、忌服の際には休暇を取得できます。

例:

・結婚休暇(結婚の1ヶ月前より結婚後12ヶ月以内)…5日以内
・配偶者出産休暇(出産日の前後1週間以内)…3日以内
・忌服休暇(事由発生前後1週間以内から起算)
父母、配偶者、子…7日以内
祖父母、兄弟、姉妹、孫、配偶者の父母…3日以内
配偶者の兄弟、姉妹…3日以内
その他同居親族…2日以内
伯父・伯母、叔父・叔母…1日以内

 

・育児休業
1歳未満の子を養育する人が対象で、諸条件を満たす場合は更に6ヶ月延長できます。

・介護休業
要介護状態にある家族を介護する人が対象です。
ただし、休業申出があった日から(育児…1年、介護…93日)以内に雇用関係が終了することが明らかな人や、1週間の所定労働日数が2日以下の人は対象外になります。

 

財形貯蓄・生命保険・損害保険

・財形貯蓄
一般財形は利子に20.315%課税されます。住宅財形、年金財形に関しては、目的利用に対し、非課税制度があります。
選択する金融機関によって、カバーするサービスの範囲が異なります。明治安田生命、住友生命、日本生命は一般・住宅・年金の3つをカバーしており、三井住友銀行、三井住友信託銀行は住宅・年金の2つをカバーしています。

・生命保険・損害保険
団体扱いになるため、個人で契約するより2~5%割引が適用されます。
選択する金融機関によって、支払い方法が異なります。明治安田生命、住友生命、日本生命の3社は給与天引で、第一生命、東京海上日動の2社は個人口座振替です。

 

あずさ監査法人ならではのユニークな福利厚生

・試験休暇
公認会計士となるために必要な試験を受験する際に与えられる休暇です。他企業にはない、会計士が多数派のあずさ監査法人ならではの休暇だと思います。

例:

・公認会計士試験(8月)
1回目…試験日を含め直前5日間、その他5日間
2回目…試験日を含め直前5日間
3回目…試験日のみ

 

・補習所修了試験(12月)
1回目…試験日を含め直前5日間、その他5日間
2回目…試験日を含め直前5日間
3回目…試験日のみ

 

・フレキシブル・ワーク・プログラム
フレキシブル・ワーク・プログラムとは、「妊娠中、出産、育児、介護等を行う職員の、仕事と家庭の両立を支援する制度」です。
短時間勤務を導入している企業は多いですが、あずさ監査法人では産休開始前の妊娠中や、育児中も小学校卒業前まで利用できるなど、他社と比較して手厚いサポート体制が整っています。

短時間勤務 休業
妊娠 産前休業開始前の妊娠中
育児 小学校卒業前まで 子が3歳に達するまで
介護 家族が要介護状態にある期間 介護休業が通算93日を超えた日から最大1年まで

下記が短時間勤務の条件ですが、1-3の併用はできません。一般的には2の「1日2時間の労働時間の短縮」を選択している人が多いです。

  1. 1週2日を限度として労働免除
  2. 1日2時間を限度として労働時間の短縮
  3. 時間外勤務を行わない
  4. 2時間を限度に就業時間の繰上げ、又は繰下げ
  5. 深夜(22:00~5:00)勤務を行わない

 

・ビジネス・カジュアル・ウェア
6~9月は、毎日をビジネス・カジュアルデーとしてビジネスカジュアルを推奨しています。6~9月以外は、金曜のみが対象です。
下記が基準になります。

・遊び感覚の服装ではなく“きちんとした”格好であること
・間接部門でも、クライアント等と接点の多いフロント職と同様の意識を持ち、法人の一員として節度ある服装を心がけること

監査法人という職種柄、実際には外資ITレベルにラフな服装の人はいません。男性は黒または紺のポロシャツにチノパンの人が多いです。一般職の女性の方がもっともラフで、サンダルを履いている人もいますが、ノースリーブ等露出度の高い服は禁止されています。

 

・病児保育サポート制度
仕事と育児の両立支援の一環として、共働き世帯が安心して働ける職場環境の実現のために「病児保育サポート制度」を導入しています。
具体的には、企業、法人等が提供する育児関連サービスの一部を、会社の補助にて利用できる制度として次のように定めています。

・認定NPO法人フローレンスとNPO法人ノーベルと提携
・上記2団体以外の病児および病後児保育サービスを受けた場合、利用料の一部を補助

 

・クラブ活動
クラブ活動には補助金が付与されます。下記の通り、様々な活動があります。音楽系のクラブであれば、社内イベントで披露する機会もあります。

野球部、テニス部、スキー部、ゴルフ部、バスケット部、サッカー部、マラソン部、フットサル部、ワンゲル部、モータースポーツ部、レーシングカ-ト部、釣り部、レ・ドゥ・セルクル遊輪団、ウクレレ部、華道部、書道部、囲碁将棋部、歴史研究部、中国語会話俱楽部、着物部

 

・カフェテリア制度
被保険者各人が必要とするサービスを付与ポイントの範囲内で、自由に選んで利用できる制度です。
年間に50,000ポイント(50,000円相当)が付与されるので、下記から好きなサービスを選んで使用できます。次年度の3月31日までの2年間が有効期間です。

・専門ドック(脳・歯科ドック)郵送検査
・介護、育児支援
・運動支援(スポーツクラブ・ヨガ・ゴルフ・オンライン)
・旅行、宿泊
・医薬品、健康食品購入
・健康グッズ
・マッサージ、リラクゼーション
・レジャー&ライフ

 

・定期健康診断
年に1回健康診断を受ける必要があり、好きなタイミングで個別に受診できます。契約医療機関は全国に300か所以上ありますので、希望の医療機関を利用できます。婦人科健診は、女性希望者全員が無料で受診できます。

 

ワークライフバランスについて

ワークライフバランスに関しては、以前は深夜残業が多く酷い状況でしたが、働き方改革以降は残業規制が厳しくなったため、労働環境は改善されつつあります。

また、コロナウイルスの影響もあり、現在はリモートワークが推進されています。通勤時間を省略できることに喜んでいる人は多いです。

リモートワーク

あずさ監査法人では、働きやすい職場環境の整備やダイバーシティ推進の一貫として、2016年8月から在宅勤務制度を本格導入しました。ただ、フロント職はクライアントと交流する機会が多いことから、導入以降も実際にはリモートワークはあまり活用されずにオフィス勤務が中心でした。
しかし、コロナウイルス感染拡大の影響を受け、2020年3月以降は可能な限りリモートワークをするように徹底されています。4年前から制度上はリモートワークを導入していた経緯もあり、今後もリモートワークは継続されることが予想されます。

 

オフィス

オフィス空間に関しては、「フロント職は客先に行くことが多く、社内にはあまりいない」ということを理由に、快適とは言えない状態のまま放置されています。食堂はありませんし、無償で提供されるのはウォーターサーバーの水くらいです。昼食や夕食は、外食や近くのコンビニに買い出しに行くことがスタンダードです。

また、デスクは一般的にはオープンスペースです。パートナー等かなり上の職位に出世すれば個室やパーテーションのあるデスクが提供されますが、その他大多数の職員は大きな机1つに対して10人位が、所狭しと座っている状況です。

職員数に比べて会議室の数が少ないため、そこら中のオープンスペースでディスカッションが繰り広げられており、作業に集中しやすいとは言えない環境です。集中するためにイヤホンをしながら作業している人も多いです。

 

残業への考え方・残業代について

以前のあずさ監査法人は「残業は当たり前、繁忙期には徹夜も当然」という会社でしたが、働き方改革以降は残業に関する考え方は大きく変わりました。

夜21時以降にはPCがシャットダウンするため、確実に残業時間は減少しました。日本における上場企業の多くは3月決算のため、監査法人の繁忙期は4-5月となりますが、繁忙期の月でも残業時間は100時間前後です。

現在は労基対策として残業規制が厳しくなっているため、以前のように無限に残業代をチャージすることはできません。あずさ監査法人の勤務時間は7時間ですが1日10時間労働の際、残りの3時間は自習の位置づけにするなど、サービス残業が増加しているのが実情です。

 

実際に在籍していいる社員の声

では実際に在籍している社員の、あずさ監査法人に福利厚生に対する印象をお伝えします。

 

・カフェテリア制度
福利厚生で一番好評なのが、カフェテリア制度です。住宅手当がない中で、年間50,000円に相当するポイント付与は金銭的メリットを実感しやすく、魅力的です。

利用方法は多種多様ですが、スポーツクラブ・ヨガなど運動に使用している人が最も多い気がします。セントラルスポーツ、ティップネス、ゴールドジムなどメジャーなスポーツクラブをカバーしているので、首都圏に住んでいる人であれば近所の施設に適用できます。月会費の一部をカフェテリアプランのポイントで支払いできます。

また、宿泊へのポイント利用も人気です。プリンスホテル、ダイワロイヤルホテルズ、星野リゾートなどの様々なホテルにおいて、ポイントを使用して宿泊できます。自分へのご褒美として、自腹だと敷居が高いと感じるような高級ホテルに宿泊する人も多いです。

 

・健康診断
あずさ監査法人では、自分の好きなタイミング、好きな病院で、婦人科検診などのオプションも含めて全て無料で受診できます。

他社では「全社員が近くの病院で一斉に受診」「婦人科検診は有料」という企業が多いので、あずさ監査法人のように自分の都合で選べて、且つオプションも無料の健康診断は魅力的です。

 

福利厚生には頼らず、出費は給与でカバーする心構えが必要

あずさ監査法人は従業員数約6,000名という規模でありながら、福利厚生の質は他の大企業に比べて正直劣ります。住宅手当がないことに加えて食堂もないので、日々の出費を支えてくれる福利厚生サービスは一切ありません。

働き方改革が推進される以前は「福利厚生はイケていないけど、残業代でカバーできるから」とよく言われていましたが、現在は残業規制が厳しく、残業代も雀の涙程度です。よって、あずさ監査法人で働く以上は、「福利厚生には頼らず、生活における出費は給与で全てカバーする」という心構えが必要です。

一方で、日常的な出費補助にはならないにしても、魅力的な福利厚生制度も複数存在します。働く女性にとっては「フレキシブル・ワーク・プログラム」は魅力的だと思います。妊娠中~子供が小学生を卒業するまで時短勤務を利用できたり、子供が3歳になるまで育休を取得できるのは、他社と比べても手厚い福利厚生制度です。名ばかりの制度ではなく、実際に利用している女性職員も多数います。

また「カフェテリア制度」によって、仕事帰りや休日にスポーツジムや高級ホテルを無料で利用できるのは、リフレッシュになります。

一般的に監査法人・コンサルティングファームの福利厚生は、質が低いことが業界スタンダードです。その中において、あずさ監査法人の福利制度は比較的充実していると思います。

ライフワークバランスは改善の傾向にありますし、「フレキシブル・ワーク・プログラム」のように魅力的な制度ができるなど、良い方向に変化してきています。今後も福利厚生の改善が期待できる会社だと言えるでしょう。

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