有限責任あずさ監査法人の年収を元社員が解説!どんな人が評価される?年収は上がりやすい?

日本には4つの巨大監査法人があり(トーマツ、あずさ、EY新日本、PwC)、総称で「Big4」と呼ばれています。Big4各社は監査報酬の伸びが頭打ちであることを背景に、近年アドバイザリー業務に注力しています。

今回紹介するあずさ監査法人も、他社同様にアドバイザリー売上を拡大しています。そのため、会計士以外の人材が増えてきていますが、主要業務は監査ということもあり、全職員約6,000名中、会計士が約5割を占めています。さらに会計士試験合格者や監査補助職員も含めれば、約9割を占めます。

監査法人は高給取りのイメージがありますが、具体的な金額については知らない人が多いのではないでしょうか。今回は、あずさ監査法人に勤務していた筆者が年収・ボーナスについて解説します。

 

あずさ監査法人の年収について、クラス別に解説

あずさ監査法人の平均年収は約800-1,000万円です。コンサルティング会社よりは低いですが、日本の上場企業の平均約600万円と比較すると高い給与水準です。

 

年収の内訳は、(基本給+職能給)×12+首都圏手当(10,000円)×12です。首都圏手当は首都圏に在住している方にのみ支給されます。マネージャー以下は、上記給与に残業代(平均40時間程度)がプラスされます。残業代は基本的に上限はありませんが、各プロジェクト内の判断にゆだねられています。

例えば、プロジェクトの予算が厳しい場合は、プロジェクトの役員の指示により、残業しても、残業時間をチャージしないように指示がされている場合などはありますボーナスは月給(基本給+職能給)×2か月分が年に2回支給されます。昇給は年1回です。

 

クラス 年収 入社年数・職務内容
スタッフ 約500~600万円 入社1~3年目。監査現場において実務に従事し、シニアの指導を受けながら、会計士としての基本能力を身に付ける
シニア 約600~800万円 入社4~7年目。入社監査現場のインチャージ(現場責任者)として職務を遂行し、その内容に責任を持つ。スタッフの作業状況を把握・管理し、必要に応じてOJTを行う
アシスタントマネージャー 約800-900万円 入社7~10年目。大規模なクライアントや複雑な内容を含む監査業務のインチャージとして職務を遂行。複数のインチャージ業務を円滑にマネジメントし、マネージャーに準ずる業務も一部行う
マネージャー/シニアマネージャー 約900-1,400万円 入社10年~15年目。チーム全体が円滑に業務を遂行できるように管理すると共に、高度な専門家として、潜在的な問題点を把握し、具体的な解決策を提示。組織の労務管理や人材育成といった管理責任も担う。
パートナー 約1,400-2,000万円 業務全般を統括し、提供するサービスの品質、クライアントの関係維持に責任を持つ。さらに、出資者として法人運営にも参画。

 

あずさ監査法人で年収をアップさせるためには?

あずさ監査法人で年収をあげるためには、どうすれば良いでしょうか。

まず、基本給は先述のクラスによって決定するので、昇給するには地道にクラスを上げていくことが重要です。クラスを上げるためには2種類の基準で構成される評価で、良い評価を獲得していく必要があります。

その評価はER(Engagement Review)評価とER以外の評価の2つにより構成され、「S、A、B+、B、C、D」にランク付けされます。あくまでER評価がメインで、追加情報としてER以外の評価、という位置づけです。年2回、基本的には上長がメインで評価を行います。360度評価も実施していますが、追加情報程度です。

・ER評価

エンゲージメント評価(売上の発生する業務に対する評価)、社内プロジェクト評価(売上の発生しない業務に対する評価)から構成される

・ER以外の評価

組織への貢献、業務開発への貢献等から構成される

 

クラスごとに、昇格要件は異なります。

・シニア、アシスタントマネージャーへの昇格
3年次は前述の評価でB以上、4年次以上は人事考課でSまたはAを取得

・マネージャーへの昇格
2年次は人事考課でA以上、3年次以上はB+以上を取得

・シニアマネージャーへの昇格
人事考課でSまたはAを取得

 

年収のグレードが上がるペースは日本の上場企業よりは早く、コンサルティング会社よりは遅いぐらいの肌感で、2-3年かけてランクを1つずつ上げていくのが一般的です

あずさ監査法人では「10年一貫育成」コンセプトのもと、3つの「O」(OJT、Off-JT、Opportunity)のバランスを保ちつつ、時間をかけて人材育成することを目標にしています。

よって、大多数は同期揃って約10年でマネージャーに到達します。もちろん、スタッフ/シニアにおいて特筆すべき実績を残している人はスピーディに昇進しますが、ごく一部です。マネージャー以降においては横並びでの昇進はなくなり、実力主義でふるいにかけられていきます。

 

あずさ監査法人でのリアルな年収事情

年収事情として、年収がアップした例と、年収がダウンした例についてご紹介します。

まずは、年収がアップしたAさんの例です。会計士は営業経験がない人が大多数を占めるため、新規案件獲得の「営業力」に秀でている人は昇進が早いです。実際にAさんは早期のパートナー昇進を目指していたため、マネージャーに昇進した後は監査に関与する割合を減らして、新規案件受注に注力しました。受注実績を残した結果、30代でパートナーに到達しました。

監査業務は業務フローが定型であるため、高いパフォーマンスを出すことには限界があります。下記のように、新たなアクションを起こすと昇進しやすいでしょう。

・新規クライアントからの受注

・既存クライアントから新規案件の獲得

・新規部署の設立

一方で、年収やクラスが下がった例は聞いたことがありません。大きなミスをしたり、休職した場合には、クラスはステイ(現状維持)となります。但し、監査法人はインサイダー取引にかなり厳しいので、身内の株式購入や、SNSでのクライアント情報漏洩をした際には、懲戒免職など厳しい処分を受けるので気を付ける必要があります。

 

年収に影響する評価について

会計士という仕事柄、「業務を正確に行える人」が重宝されます。監査業務は地道な作業ですが、決してミスが許されません。コンサルティング会社のような派手さはありませんが、担当業務を地道にやり遂げる人が評価されます。

また、あずさ監査法人は長期的な人材育成に重きを置いているので「後輩を育成できる人」も重宝されます。監査チームは人数が多く、かつ若手社員数もかなり多いので、シニア以上では後輩を育成することが求められます。自分の業務を行うだけではなく、周囲に目を配り、後輩を一人前に育成できる人が評価されます。

 

あずさ監査法人が求める人物像

筆者の感覚ではあずさ監査法人では「チームプレイが得意な人」が求められているように感じました。

監査業務、アドバイザリー業務、いずれにしても複数メンバーでのプロジェクトにアサインされるので、各メンバーと頻繁にコミュニケーションを取る必要があります。長期間同じチームで作業をすることが多いので、役職を横断して円満な人間関係を構築できる人が重宝されます。

一方で、個の力を発揮したい人やライバル意識の強い人は、浮きやすいです。そのような人はグループ会社のコンサルティング会社に転籍したり、外部コンサルティング会社や投資ファンドに転職する人が多いです。

 

あずさ監査法人は平和な社風で高収入

あずさ監査法人の年収・ボーナスについてご紹介しました。

これまでお伝えした通り、あずさ監査法人は日本の上場企業に比べて年収は高いです。一方で、社員間のライバル意識は低く仲の良い雰囲気や、チームプレイが重視されるなど、平和な社風も特徴的です。

以前は職員の大半が会計士でしたが、近年はアドバイザリー業務に注力していることもあり、会計士以外の人も多く中途入社しています。「事業会社よりは稼ぎたいが、コンサルティング会社のような熾烈な競争は苦手」という、高収入と平和を両立させたい人にはおすすめできる会社です。

EY新日本の東芝事件以降は、Big4の残りの3社は監査業務の負担が増え、残業時間が大幅に増加しました。それ以降、働き方改革で残業時間が厳しく制限されていることもあり、あずさ監査法人は常に一手不足です。よって、転職したい人にとっては、今はいいタイミングだと言えるでしょう。

ご興味のある人はトライしてみることをおすすめします。

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