
本記事では、クラウド名刺管理サービスの開発・提供で急成長するSansanについて、会社の成り立ちから事業の現状まで、転職検討者が知っておくべき基礎知識をまとめています。
法人向けクラウド名刺管理サービス「Sansan」、名刺アプリ「Eight」、クラウド請求書受領サービス「Bill One」 それぞれの事業の特徴や業績など、現役社員のインタビューを基に余すところなくお伝えします。 |
本記事のポイント
- 導入企業7,000社で、名刺管理サービス市場を創出
- 先行投資を続ける中、コロナ禍で黒字転換
- 2021年1月、東証一部に
- クラウド請求書受領サービスを新展開
- 各事業の収益力強化が課題
Sansanの会社概要
Sansanは、クラウド名刺管理サービスの企画・開発・販売を主要な事業として、三井物産出身の寺田親弘氏(現代表取締役社長兼CEO)によって2007年6月に設立されました。
2020年5月期決算
有価証券報告書によると、2020年5月期決算は以下の通りです。
売上高 | 133億6,200万円 |
純利益 | 3億3,900万円 |
先行投資を続ける中でも黒字転換を達成しました。
最新の決算(2021年5月期第2四半期)
最新の決算(2021年5月期第2四半期)でも好調な業績を維持しています。
売上高 | 76億3,600万円(前年同期比21.3%増) |
純利益 | 3億8,800万円(同9,100万円の赤字) |
2019年6月に東証マザーズに新規上場し、2021年1月に東証一部に市場変更しています。
自己資本比率は52.1%と安定した財務状況です。
従業員数・拠点と子会社
従業員数はグループ全体で763人(2020年11月末時点)。
拠点と子会社は以下の通りです。
本社 | 東京(表参道) |
支店 | 大阪/名古屋 |
サテライトオフィス | 北海道/新潟/京都/徳島/福岡 |
海外子会社 | アメリカ/シンガポール |
2020年8月には会議録の全文書き起こしサービスを提供するログミー株式会社を連結子会社化しています。
働き方改革やDX、コロナ禍も追い風!?
名刺管理サービスという市場を創出した新興ベンチャー企業で、現在はクラウド請求書受領サービス「Bill One」やイベントテック事業など新たな事業を本格化させています。
名刺管理を事業の「核」として企業の営業活動を支えるビジネスプラットフォームを目指している会社と言えます。
現在は新規事業に伴うシステム開発や知名度向上を目指した広告宣伝費といった先行投資が業績の重荷になっているものの、法人向けサービスを中心に事業は拡大しています。
働き方改革やデジタルトランスフォーメーション(DX)の推進で、名刺管理のデジタル化の風潮は高まりつつあります。
新型コロナウイルス禍で在宅勤務が多くなったことで、より一層Sansanの事業は注目され、追い風となっています。
Sansanへの転職に選ばれているサービス
Sansanへの内定実績トップクラスのエージェントを紹介してくれるサービス
エージェントファインダー
(Sansan他、メガベンチャー志望の方向け)
Sansanの社員数や業績推移
社員数
契約社員を含む社員数は事業の拡大に合わせて年々増加しています。
2016年 | 236人 |
2017年 | 305人 |
2018年 | 402人 |
2019年 | 549人 |
2020年 | 713人 |
2020年11月末 | 763人 |
従業員のうち約6割が法人向け事業を担当しています。
最新の有価証券報告書によると平均年齢と平均勤続年数は以下の通りです。
平均年齢(2020年5末時点) | 32.3歳 |
平均勤続年数 | 2.5年 |
新規採用が多いため勤続年数は低くなっているとみられます。
業績
売上高は、2016年5月期の31億円から2020年5月期の133億円と飛躍しています。
一方で、純利益(純損失)は、2016年5月期の純損失13億円と赤字が続き、2020年5月期で純利益3億8千万円の黒字に転換しました。
ある社員は「システム開発などの先行投資と知名度アップのための広告宣伝費、主にCMに多額の資金を投入していて、少しでも守りの姿勢に転じれば、すぐに黒字になる」と説明しています。
実際に、新型コロナウイルス感染症の拡大で、一部投資が鈍ったことで、2021年5月期第二四半期は増収増益となっています。
Sansanの主要な事業
Sansanの主力事業はクラウド名刺管理サービスで、法人向けの「Sansan」と個人向け「Eight」に大別されます。
そのほか、新たな取り組みとしてクラウド請求書受領サービス「Bill One」を展開しています。
法人向けのクラウド名刺管理サービス「Sansan」
Sansanの概要
2007年の創業時からスタートしたSansanの主力事業で、現在は約7,000社が契約し、市場全体の84%(※)のシェアを占めています。
当初は「LinkKnowledge(リンクナレッジ)」の名称でサービス展開していましたが、2013年から社名と同じ「Sansan」に変更しました。
現在は会社全体の売上高の約9割を法人向けのSansan事業が担っています。
「名刺管理から、働き方を変える」をコンセプトに、社内の名刺を一括管理して顧客データとして他の情報と連携させることで、営業やマーケティングなどに広く活用してもらうことを目指しています。
※:名刺管理サービスと営業サービス(SFA/CRM/オンライン名刺交換)の最新動向(2020年12月 シード・プランニング調査)
Sansanの仕組み
<受け取った名刺を取り込み>
営業などで受け取った取引先の名刺を専用のスキャナやスマートフォンアプリで取り込みます。
スキャンされた名刺は、機械学習等によって進化するAIテクノロジーと人による手入力の組み合わせによって99.9%の精度でデータ化します。
スマホのアプリを利用する場合は、複数枚を一気に撮影でき、画像はすぐにアップロードされ手元にデータは残りません。
名刺は11カ国語に対応しています。
こうして取引先から受け取った名刺を大きな手間をかけずに、確実にシステムに取り込みます。
<名刺を管理、社内で共有>
取り込んだ名刺は、人物単位で一元管理され、その人物に関するメモ(第一印象や挨拶時に聞き取ったこと)を残すことができ、名刺情報と一緒に管理されます。
メールや電話での営業の接触履歴も合わせて集約されるので、誰が社内でその人物と交流があるのかといった「コンタクト管理」もされます。
例えば、新たに営業担当になって取引先に挨拶行く際には、社内の接触履歴を基に、担当者が誰か、どんな人物かを把握するとともに、同僚にその人物の人柄を事前に聞くことも可能です。
訪問先の電話番号や所在地の地図なども名刺データからワンクリックで情報を取り出せます。
信用調査会社とも連携しているため、その顧客企業の基礎情報をすぐに把握できます。
<オンライン名刺>
Sansanでは2020年6月からオンライン名刺機能の提供を始めました。
新型コロナウイルス感染症対策で増えたリモート会議の場でも、Sansanのオンライン名刺機能を使えば、リアルな場と同様に名刺情報の交換が可能です。
Sananを使って発行したURLを相手に伝えると、紙の名刺と同じ形でオンライン名刺を渡せます。受け取ったオンライン名刺はそのままSansanで管理できます。
<人事異動を反映>
提携する経済誌や通信社からの情報を基に、Sansanに登録した顧客の人事情報の更新を知らせます。
取引先企業の経済関連ニュースも自動で取得し、メールで通知することもできます。
叙勲の受賞といった情報まで細かく関連情報を入手し、名刺管理に反映させます。
営業で担当する企業があれば、見落とすことなく最新の情報を取得できます。
同僚が、自分が名刺交換した取引先と同じく名刺を交換、登録した際には通知し共通の人脈として互いに把握します。
顧客企業の人事が組織ツリーとして把握できるため、未接触の人物が可視化され、効率的にアプローチ戦略を立てることもできるのも特徴です。
<同僚の強みも把握>
受け取った名刺から顧客情報を社内で共有しながら、自社の同僚の人脈や強みも把握できます。
Sansanを社内のクラウド電話帳として活用することもでき、特定の業界に強い同僚を探し出して自身の営業に協力を求めるなど、社員間のコラボレーションにつなげられます。
同僚と顧客の名刺を貼り付けたメッセージのやり取りも可能で、同僚に取引先を紹介してほしいといったお願いも手軽にできます。
<オプション機能>
Sansanは他社の多くのサービスと連携しているのも特徴です。
指定暴力団などの反社会的勢力の関連企業データやコンプライアンス情報を自動で照会できる「反社チェックオプション」や、名刺をスキャンするだけで過去の顧客との契約情報を確認できる弁護士ドットコムのクラウドサインとも連携しています。
商談管理オプションでは、Salesforceの商談情報を取得でき、顧客企業が自社の他部門とどういった商談を進めているかを閲覧可能になります。
このほか、サイボウズのキントーンなど多数の協力企業とサービスの連携をしています。
名刺を中心とした他社との協業によって、ビジネスの現場、特に営業の現場でのプラットフォームになりつつあります。
Sansanの契約先
数名規模の中小企業から大手企業、官公庁や自治体まで7,000社・団体が契約しています。
経済産業は2020年7月、Sansanを正式導入し、約4,000人の職員がオンライン名刺の活用を始めたことがニュースとなりました。
トヨタや三井住友銀行、資生堂、三井物産など業種、業界問わず幅広い企業で導入されています。
自治体では徳島県が導入し、静岡大学や近畿大学といった大学でも利用されています。
Sansanへの転職に選ばれているサービスはこの2つ
Sansanへの内定実績トップクラスのエージェントを紹介してくれるサービス
エージェントファインダー
(Sansan他、メガベンチャー志望の方向け)
名刺アプリ「Eight」
Sansanが提供する、名刺を起点とした国内最大のビジネスネットワークです。
名刺を撮影することで、正確にデータ化して、アプリで管理することができます。
名刺管理だけでなく、名刺交換相手の異動情報や企業ニュースを閲覧したり、自身のビジネスにおける近況を投稿したりすることができる「フィード」、チャットのようにコミュニケーションが取れる「メッセージ」、名刺だけでは伝えることができない経歴やビジネススキルを明示できる「プロフィール」、オンラインでも名刺交換ができる「オンライン名刺」といった機能を搭載しています。
ビジネスにおけるコミュニケーションツールとして、2021年現在、280万人を超えるビジネスパーソンに活用されています。
クラウド請求書受領サービス「Bill One」
さまざまな取引先からの請求書をデータ化し、オンライン上で閲覧可能にするサービスです。
紙の請求書は郵送で送ってもらってデータ化を代行し、PDFなどでデータとなっている請求書はアップロードやメール郵送をしてもらいクラウド上で一元管理します。
これまで部門間で行われていた請求書の開封や振り分け、受け渡しのほか申請、承認業務が大幅に軽減されます。
コロナ禍でリモートワークが進む中で、事務作業を効率化するのが目的です。
法人向けSansan事業で培った、非定型の名刺をデータ化してきた技術を生かした事業です。
直近のテレビCMでは、Bill One事業を取り上げています。
ペーパーレス化の推進や災害時のBCP(事業継続計画)においても、紙やデータとして手元で保存せずクラウド上で管理できるメリットがあり、企業の注目が高まっています。
本記事のまとめ
Sansanは、名刺管理サービスを創出したトップランナーとして、積極的に事業拡大を進めています。
法人向けはコロナ禍の中でも契約数が右肩上がりで、成長軌道に乗っているといえるでしょう。
攻めの経営で、多数のCMを打つことでビジネスマン以外の知名度も向上しています。
クラウド請求書受領サービス「Bill One」が本格展開し、今後の期待が高まっています。
課題は、新規事業も含め、そのサービスの価値の拡大・深化によりビジネスインフラとして認知されることができるかどうかです。
ビジネスマンにとってなくてはならないサービスになりつつあるのは間違いありません。
他社のサービスと連携が進み、利便性は確実に高まっています。
Sansanのサービスがビジネスマンの「必需品」となった後に、十分に利益を上げられる事業に成長しているかどうかがポイントになると思います。
Sansanへ転職するには
Sansanへ転職を実現する上で大切なのは、どの転職エージェントに相談するか、です。転職エージェントならどこでも良いわけではなく、同社への内定実績を豊富に持つエージェントに相談するようにしましょう。 内定実績が豊富なエージェントは採用ターゲットを熟知していますし、過去の面接内容や面接官の情報に基づいた面接対策をしてくれるので内定確度が上がります。
Sansanの志望度が高い方は是非、【エージェントファインダー】にご登録ください。SansanをはじめとするITベンチャーやSaaS企業に多くの内定者を輩出している転職エージェントをご紹介させていただきます。