広告代理店への転職を視野に入れたとき、業界最大手の「電通」と「博報堂」を検討している方は多いのではないでしょうか。 両社については様々な比較記事や、実際に働いていた方の体験談を読むことが出来ますが、本記事ではクライアントとして両社と仕事をした経験のある筆者が、クライアント目線で両社を比較した内容をまとめました。●筆者プロフィール IT企業で長く広告宣伝業務を担当。電通、博報堂と仕事をしていた当時は国内でも有数のインターネットプロバイダ企業の広告宣伝部に所属し、ポスティングのチラシからTVCMまでを担当しました。 |
目次
一般的な両社の評価
電通と博報堂は同じ広告業界でも社風が大きく異なります。一般的には「営業力の電通」、「クリエイティブの博報堂」と言われており電通はいわゆる体育会系、博報堂は個性的なクリエイティブ集団とも評されています。
筆者の経験では、「まさにその通り」と思う部分と「ちょっと違うなあ」と思う部分が両方ありました。
クライアント目線での実体験による両社の違い
ここからは、実体験に基づいて具体的に両社の印象を掘り下げていきたいと思います。
見た目の印象が対照的?
電通は、打ち合わせに来る営業担当は基本的にスーツにネクタイです。クリエイティブの方はスーツではありませんでしたが、それでもジャケットは着用していました。
一方の博報堂は、ある時は営業担当が一人で来て、その服装はTシャツにジーンズ。さらに金髪で耳にはピアス付き、なんていうこともありました。営業以外の担当の方の服装も様々で、いかにも「クリエイティブ」の博報堂といった感じですね。
見た目の印象については、一般的な両社の評価に沿っているのかもしれません。
提案内容の違い
続いて、提案内容の中身の印象についてお伝えします。
コンサルティングのようなクオリティ!電通の提案
新規事業プロジェクトである光ファイバーを使ったインターネット接続サービスのクリエイティブを依頼した際のエピソードです。
こちらが依頼したのは、その事業の広告に使用するメインビジュアルやコピーライトの提案でした。しかし、電通の提案には、そのサービスを使った音楽配信や動画配信などコンテンツ配信事業への展開に関する部分まで含まれていました。私が所属していた広告宣伝部で考える範囲を超えており、さすがに電通だなと思わせるものでした。まるでコンサルティング会社のようだなと思った記憶があります。
小さい打ち合わせでも、営業のアシスタント含めて常時5人くらいで来社していました。もちろん大きな打ち合わせでは両社とも営業、クリエイティブ、マーケティングと各部署の担当者から責任者まで10人以上で来る場合もありました。
マーケティングデータを活用して費用対効果まで予測!博報堂の提案
博報堂で印象に残っているのは、チラシのポスティングからTVCMの活用まで緻密で実績に基づいた効果的な提案をしてくれるということです。
特にTVCMを含むすべてのメディアをお願いしていた時にはマーケティング担当者が他社の事例データを活用して、その効果による入電数やWEBサイトへのアクセス数などをかなり高い確度で予測していましたし、実際にその通りの効果を出してきました。当時私が所属していた会社では、費用対効果を見極める基準が厳しく、どれくらいの費用をかけて何人の顧客を獲得するかを重視していましたので、最終的には博報堂の提案を採用した記憶があります。
電通 | 博報堂 | |
服装 | 基本的にスーツにネクタイ またはジャケット着用 |
Tシャツにジーンズなど様々な服装 さらに金髪で耳にはピアスといったことも |
クライアントへの 提案内容 |
まるでコンサルティング会社のような 依頼内容を超えてくる提案 |
緻密で実績に基づいた効果的な提案 |
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クリエイティブへの拘り
広告の印象を大きく左右するのは、なんといってもクリエイティブです。ここからは両社のクリエイティブ面でのスタンスの違いをお伝えしてきます。
たった一行の修正にも強いこだわり!電通のクリエイティブ
20ページほどのサービスの総合パンフレットを制作していた時です。あるページの見出し部分と本文との、わずか1行の間隔がどうしても気に入らず、その間隔を少し広げるよう修正を依頼しました。しかし電通の営業は、そのページの1行を変更すると他の残りの全ページに修正が必要となり、パンフレット全体のデザインのバランスが変わってしまうと、首を縦に振りませんでした。
私は、「該当ページだけ修正すれば良い」と主張したのですが、さんざん議論しても、らちが明かずクリエイティブの担当者へ直接連絡を取りました。結局はクリエイティブ側がその修正に反対していたことが分かりました。
最終的には電通のクリエイティブが拘った全体のバランスを尊重して修正は行わなかったのですが、電通のクリエイティブ担当は営業からしっかり守られている、という印象を持ちました。
もちろん、この拘りは、自分たちのクリエイティブへの自信の表れだと思いますし、その意図について営業サイドとの連携がしっかりと取れているのでしょう。
クライアントの意向に柔軟な博報堂
博報堂は電通と比較するとクライアントの要望に柔軟に対応してくれるイメージです。先述した電通のように、広告のクリエイティブを修正する際には、それがたった1行であっても全体に影響を及ぼすため、なかなか簡単に「はい、直します」とはならないのが常です。
しかし博報堂は、比較的柔軟に対応してくれました。また「ここを直すのであれば別な部分にも修正を加えて、こういう案はいかがでしょう?」と単純な修正を上回る提案をしてくれました。
クリエイティブの担当は大変だったと思いますが、クライアントの意図を理解する能力が高いと感じました。また私個人としては、博報堂と仕事をしている時は「一緒にクリエイティブを作り上げていく」という感覚を持てました。
この辺りは一般的に言われている「営業の電通、クリエイティブの博報堂」と少し異なるかもしれませんが、最初に述べた通り担当者が変われば、その印象も変わってくるものだと思います。
電通 | 博報堂 | |
クリエイティブ面での スタンス |
クリエイティブ担当の拘りが強く 営業担当者もその意図を汲んでいる印象 |
ライアントの要望に柔軟に対応してくれる印象 単純な修正を上回る提案も |
営業はどちらもハードワーク
3日間の徹夜に付き合ってくれた電通、深夜のカップ麺を共にした博報堂
約10年ほど前ですが、筆者が所属していた企業は急成長を遂げており、業務は多忙を極めました。終電を逃してタクシーで帰宅することや、時には会社に泊まり込みということもありました。
そんな中で両社の営業担当の方へは、かなりのハードワークをお願いすることになってしまいました。特に広告宣伝の仕事は締め切りがタイトになることが多く、そのため締め切り直前になると長時間労働を強いられることとなり、それに付き合う両社の営業担当は大変だったと思います。
3日間、会社に寝泊まりしての作業になってしまったにも関わらず、昼夜を問わず、メールや電話でのやりとりに対応してくれた電通の担当者さん。
深夜の打ち合わせでカップ麺を差し入れてくれた博報堂の担当者さん(その後カップ麺をすすりながら打ち合わせしました)には今でも感謝しています。
休日も接待していたことも…
筆者は両社のクライアントで、プロジェクトの担当者という立場だったので経験はないですが、筆者の上司や役員は両社の幹部クラスと交流があったようです。
電通は会社のトップと深いつながりがありましたし、博報堂は、やはり社長や幹部連中と休日にゴルフや釣りへ出かけていたようです。休日も使って接待とは「大変だなあ」などと他人事のように思ったものでした。
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電通や博報堂への転職を考えている人へ
ここまでは筆者個人の体験と印象をお話してきましたが、ここからは電通、博報堂の両社へ転職を考えている方への具体的なアドバイスをお伝えできたらと思います。
営業職
若い人は体力、調整力が重要
先述したように、かなりのハードワークですから体力は絶対的に必要です。
また、クライアントからの要望を調整するディレクション力や納期を厳守するスケジュール管理能力も必須でしょう。それに加え、競合する広告代理店を押さえて予算を獲得するということへのプレッシャーなどストレスを感じることは多いですから、それに耐えうる精神力も必要になってきます。
その分クライアントと一丸となって仕事を進め、結果を出せた時の喜びは大きいと思います。
これは私が両社と仕事をしていた10年前の話なので、働き方改革の進んだ現状では、労働環境はだいぶ変わっているかもしれません。
役職者は上層部とのコミュニケーション力が必須
これも前述の通りですが、特に管理職となる場合はクライアントの管理職とのコミュニケーションが必須となってきます。ゴルフや釣りなど、クライアントの幹部とコミュニケーションを取ることのできる趣味を持つことや、そのために休日を費やす覚悟が必要です。もちろん、それはクライアントと円滑なコミュニケーションをとるという意味に加えて、競合であるライバルの広告代理店を押さえて予算を獲得するという目的のためであり、そのための水面下での戦いに他なりません。
両社とも高い専門性が必須
私が仕事をした方は、電通、博報堂どちらの営業担当者も中途入社でした。
電通の担当者はプロモーション専門の企業からそのスキルを評価されての転職でしたし、博報堂の担当者は帰国子女で語学力が高く、デジタルメディアにも強いその手腕が買われての入社でした。
いずれにしても専門知識や経験は必須でしょう。
両社共通の営業職に必要なスキル
・体力と精神力
・クライアントからの要望を調整するディレクション力や納期を厳守するスケジュール管理能力
・コミュニケーション能力
クリエイティブ職
電通はクライアントと納得がいくまで議論
電通はクリエイティブの意図を忠実に守り、クライアントとも納得がいくまで議論しながら仕事を進める印象です。前項でも触れましたが、仮にクライアントから要望があっても営業がしっかり調整し、クリエイティブをクライアントから守っている印象を受けました。
博報堂は実直な対応
一方の博報堂は、クライアントの要望にも実直に対応してくれた記憶があります。
しかしそれに対応するクリエイティブ職の方は大変だったと思います。前項でも述べた通り、クリエイティブは一か所を修正すれば全体へ影響が及ぶことがあります。それでも修正に対応してくれたのは、単に言われた部分を直すだけではなく、クライアントの意図を読み取り、それをクリエイティブ全体に反映させる能力があってのことだったと思います。クリエイティブといえどもクライアントとのコミュニケーション能力は強く要求されるものだと感じた記憶があります。もちろん同じ会社でも、クライアントの業種やカルチャーによっても対応は変わってくるかと思います。
また、繰り返しになりますが、担当者が変われば仕事の進め方も異なってくるので、担当者による違いはあるでしょう。
まとめ
ここまで私自身の実体験に基づく電通・博報堂の印象と転職にあたってのアドバイスをお伝えましたが、いかがでしょうか。
筆者がお伝えした両社の印象は、あくまでも個人が感じた印象で、両社の担当者が違えば、その印象も変わったと思います。一つの事例として、捉えていただけましたら幸いです。
いずれにしても両社はどちらもナショナルクライアントを多く抱えているので、仕事の影響力、やりがいは間違いなく大きいでしょう。筆者個人としても、自分の携わった広告が様々なメディアで多くの人たちの目に触れていると思うと誇らしく感じましたし、それは代理店の担当者も同じだったと思います。ハードワークを共にすればこその、クライアントと広告代理店との一体感というのも感じられました。会社をやめた今でも、メールやSNSで繋がっていたりします。
大変な分、大きなやりがいを感じられる大手広告代理店の仕事はとても魅力的だと思います。筆者としては、この記事が読んでくださった方への一助になればと思います。ご覧いただきありがとうございました。
この記事のまとめ
☑一般的には「営業力の電通」、「クリエイティブの博報堂」と言われている
☑特にクリエイティブ面ではスタンスやこだわりも両社で異なる
☑残業や休日出勤もあり両社ともハードワークな印象
筆者:上田夏彦
IT業界にて16年で5社を渡り歩く。職種もSE、営業、広告宣伝など多岐に渡る。現在はフリーランスで活動する傍らSI企業にてWEBマーケティングに関わっている。
電通や博報堂へ転職するには
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