スタートアップへの転職に「やりがいがある」「裁量権が大きい」などのイメージを持つ人は多いでしょう。 スタートアップに転職するためには、入社後に後悔しないよう、スタートアップの特徴や転職後に起きやすいミスマッチなどを理解しておく必要があります。 この記事では、スタートアップ転職のメリットやデメリット、リスクや後悔するポイントなどを解説します。 |
目次
スタートアップ企業とは
スタートアップ企業とは、革新的なビジネスモデルを通じて短期間で成長を遂げる企業を指します。
英語の「startup」が由来で、世界的なIT企業が集結しているアメリカ・シリコンバレーで使われ始めたと言われています。
個人や企業によって意味づけは異なるものの、経済産業省の「平成30年度地方創生に向けたスタートアップエコシステム整備促進に関する調査事業報告書報告書」によると、スタートアップの特徴は以下の3つです。
- 革新的なイノベーション
- 高い成長力
- イグジットを検討している
スタートアップ企業と似ている言葉に「ベンチャー企業」があります。
スタートアップとベンチャーでは、ビジネスモデルが異なります。
ベンチャーは、既存のビジネスモデルをもとに、大企業が進出していない領域で新しい事業を起こす小さい企業や組織です。
ベンチャーが既存のビジネスモデルを前提にしている一方、スタートアップは、新しいビジネスモデルで今までにないイノベーションを目指す点に違いがあります。
スタートアップに転職するメリット
スタートアップに転職する3つのメリットを見ていきましょう。
自らの働きが事業成長にダイレクトに反映される
スタートアップ企業で働くメリットは、自らの働きが事業成長にダイレクトに反映される点です。
大企業は社員数が多いため、1人の働きが事業成長にダイレクトに反映されることはほぼありません。
一方で、スタートアップ企業は少人数で短期間での成長を目指すため、社員に与えられる裁量が大きく、自らの判断が事業成長に大きく影響します。
その分、仕事の難易度は高いものの、新しいビジネスモデルの開拓や事業成長に立ち会える点は、スタートアップ企業で働く大きなメリットといえます。
幅広い業務を任され多くの経験・スキルが得られる
スタートアップ企業に転職すると、幅広い業務を任され多くの経験やスキルが得られる点もメリットです。
一般的なスタートアップ企業は、少人数で事業の立ち上げから運営、拡大という一連の流れを行うため、部署を越えて幅広い業務を任されます。
事業の立ち上げから携われるスタートアップならではの経験は、非常に貴重です。
また、営業や顧客とのコミュニケーション、経営に関する数字の理解など、求められるスキルも多く、幅広い業務経験でさまざまなスキルが身につきます。
成果次第で給与・年収が上がる可能性がある
スタートアップ企業に転職するもう1つのメリットは、成果次第で給与や年収が上がる可能性がある点です。
一般的な企業の多くは年功序列の文化が残っており、個人の成果は給与や年収にほとんど反映されません。
一方でスタートアップ企業は少人数体制のため、一人ひとりに任される責任が大きく、個人の働きが給与や年収に反映されます。
成果次第で、昇給・昇格や臨時ボーナスも期待できるでしょう。
またストックオプションを採用しているスタートアップの場合、上場するとストックオプションを得られるため、大企業とは比べものにならない報酬を得られる可能性もあります。
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スタートアップに転職するデメリット
次は、スタートアップに転職するデメリットを2つを解説します。
ハードワークの企業が多い
スタートアップは少人数で幅広い業務を担当するため、一人ひとりの業務負担が大きくなります。
大企業では部署や課で担当業務の線引きが明確にされていますが、スタートアップは部署を越えた業務を担当し、担当業務の線引きがあいまいです。
成長スピードが早く、社員にもスピーディーな対応が求められるため、残業は多いと考えておきましょう。
ただし、企業によってはハードワークになりすぎないように、ワークライフバランスを重視した職場もあります。
大企業より福利厚生は充実していない
スタートアップは短期間で成長し、事業を軌道に乗せることを最優先にする必要があるため、人材への投資よりも事業成長に重きが置かれます。
そのため、大企業に当たり前に存在する育児休暇や介護休暇、家賃補助などは、スタートアップでは取得が難しいケースが多く、退職金がないことも珍しくありません。
特に起業したばかりのスタートアップは財政面に乏しく、廃業のリスクもふまえる必要があります。
転職の条件として、福利厚生を重視している方は注意しましょう。
スタートアップに転職するリスク・注意点
スタートアップへの転職を決める前に、リスクや注意点も確認しておきましょう。
大企業から転職する場合は年収が下がるリスクがある
大企業からスタートアップに転職する場合は、年収が下がるリスクがあります。
スタートアップは大企業よりも資金力が低く、利益を優先的に事業への投資に充てる傾向があります。
事業が軌道に乗ったスタートアップでは、利益を人件費に還元していることもありますが、設立して間もないスタートアップでは事業への投資が優先されるため、社員の給与に還元できないのが実態です。
ただし個人の裁量が大きい分、成果が給与に反映されやすく、転職前よりも年収が上がる可能性も十分にあります。
どうしてもスタートアップに転職したいが年収は下げたくない方は、投資家から資金を集めている資金力の高いスタートアップに絞って転職活動を行うと良いでしょう。
業績次第で倒産・事業撤退の恐れがある
スタートアップは、業績次第で倒産や事業撤退の恐れがある点にも、注意が必要です。
スタートアップが創出した新しいビジネスモデルが、市場に受け入れられるとは限りません。
立ち上げに失敗した場合、大企業であれば他事業で失敗をカバーすることもできますが、スタートアップでは難しいため倒産や事業撤退を余儀なくされるでしょう。
成功すれば事業が飛躍する可能性を秘めている一方、倒産や事業撤退で突然失職するリスクがある点も十分に考慮しなければいけません。
理想と現実の働き方にギャップがある可能性がある
スタートアップへの転職では、理想と現実の働き方にギャップがある可能性があるため、注意が必要です。
スタートアップには「やりがいがある」「優秀な人と働ける」「経営者の近くで経営を学べる」など、良いイメージが先行しがちです。
イメージだけで転職を決めてしまうと、転職後に理想と現実のギャップが生じて転職を後悔することになります。
転職に理想と現実のギャップはつきものですが、ギャップは少ないに越したことはありません。
そこで、後述する「スタートアップへの転職を成功させるコツ」を実践すると、理想と現実のギャップが少なくなるでしょう。
スタートアップに転職した方が後悔するポイント
スタートアップに転職した方が、後悔しがちなポイントも紹介します。
事前に後悔しやすいポイントを確認することで、スタートアップとの相性を見極めましょう。
自ら仕事を作り出す姿勢がない方には辛い
スタートアップは大企業のように役割分担や仕事の進め方が明確でないため、自分で仕事を作り出したり、取りに行ったりする姿勢が求められます。
個人の裁量が大きいため、すべての仕事に当事者意識を持つ必要もあります。
「与えられた仕事をこなせば良い」という受け身の姿勢の方には、スタートアップでの仕事が苦痛に感じるかもしれません。
これまでの働き方を振り返り、与えられた仕事でパフォーマンスを発揮してきた方は、自ら仕事を作り出す働き方ができるかどうかをしっかり分析しましょう。
業務が多岐に渡りやすい
スタートアップは担当業務の線引きがあいまいなことが多く、幅広い業務を担当します。営業が事務を兼務したり、エンジニアが採用も担当したりするなど、1人で複数の業務を担当するケースがあり、専門性のある業務にだけ絞って仕事をするのは難しい可能性があります。
「専門性がほしい人」「専門性を生かしたい」と考えてスタートアップに入社すると業務が多岐に渡るため、専門性が身につかず、スタートアップへの転職を後悔することが多いようです。
スタートアップは、専門性の習得よりも事業の立ち上げから幅広い業務に関われる点が魅力です。
転職で専門性を極めたいのか、より幅広い業務を担当したいのか、自己分析をしっかりと行う必要があります。
従業員の入れ替わりが激しい
スタートアップは少人数で事業を行うため、社長や経営層、同僚、事業などとの相性が重要です。
相性が悪ければ、周りと同じ情熱で業務に取り組むのは難しく、ミスマッチを感じて退職につながるケースもあります。
また、スタートアップは経営者の近くで事業の立ち上げや成長を見られるため、起業を目的として、数年で退職する想定で入社する従業員もいます。
退職者が出るたびに、残されたメンバーは仕事をカバーする必要が生じるため、業務量がさらに増え、スタートアップへの転職を後悔するケースが多いようです。
さらに、従業員の退職後に新しい人員が充てられる保証はなく、人員不足で業務量が増える可能性も踏まえておく必要があります。
スタートアップへの転職で求められる人材像
スタートアップへの転職で求められるのは、次の3つに当てはまる方です。
成長意欲がある人
スタートアップでは大企業のように、役割分担や仕事の進め方が明確に決まっていないため、自分の頭で考えて試行錯誤を重ねながら業務を進める必要があります。
また、成長スピードが早く、即戦力が求められるため、会社の成長スピードについていけるよう意欲的にスキルアップできる人が求められます。
個人の裁量権が大きいため、従業員個人への期待も大きく、人によってはストレスに感じるかもしれません。
スタートアップで求められるのは、こうした環境をストレスに感じるのではなく「自分の成長のために必要だ」と前向きに捉え、仕事への高いモチベーションを保てる人です。
変化に臨機応変に対応できる人
スタートアップは成長スピードが早いため、経営に関わる意思決定が早く、事業内容や業務内容、営業戦略、売上計画などが大きく変わることも珍しくはありません。
他企業との業務提携や開発製品の見直しの決定など、大なり小なり、日々さまざまな変化が起こります。目まぐるしい変化への対応はスタートアップならではの経験です。
こうした変化には全ての従業員が、対応する必要があります。
スタートアップで求められるのは、日々の変化を前向きに捉え、自己成長につなげられる人です。
事業への思いが強い人
スタートアップは、新しいビジネスモデルを構築して、市場にイノベーションを起こす企業です。
新しいビジネスモデルや事業の立ち上げには、多くの困難が待ち構えています。
最初から事業がうまくいく保証はなく、立ち上げ当初は資金力もないため、給与や福利厚生も期待できません。
このような環境の中、スタートアップでモチベーションを保って働くためには、事業への強い思い入れや「この人と一緒に働きたい」という強い思いが必要です。
スタートアップでは個人の成果が事業の成長にダイレクトに反映されるため、個人の成果を支える強い思いが重要視されます。
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スタートアップへの転職を成功させるコツ
スタートアップへの転職活動を始める前に、転職を成功させる3つのコツを確認していきましょう。
実際に働いている人に直接話を聞く
スタートアップへの転職を成功させる上で大切な1つ目のポイントは、実際に働いている人に直接話を聞くことです。
「成長できそう」「やりがいがありそう」というイメージだけで転職を決めると、理想と現実のギャップが大きくなり、ミスマッチが起きます。
ミスマッチを防ぐためには、スタートアップの特徴や社風、文化などを知っておくことが重要です。
スタートアップは経営陣と社員の距離が近く、社長自らがセミナーを実施していることも多いため、セミナーに実際に足を運び、話を聞いて検討するのも良いでしょう。
経営陣と社員の様子から、社風を知ることも可能です。
セミナーが実施されていない場合は、インターネットで情報収集をしましょう。
SNSやホームページで情報発信をしていたり、会社の名前を掲げて個人でSNSで情報発信をしている社員がいることもあります。
スタートアップに転職する目的を明確にする
スタートアップに転職する目的を明確にすることも、スタートアップへの転職を成功させるコツです。
スタートアップは、事業成長にダイレクトに貢献できる良さがあり、個人の裁量が大きく成長機会も多い反面、入社後に理想と現実のギャップを感じ退職する人がいるのも事実です。
ハードワークで大企業のように給与や待遇が安定しておらず、倒産や事業撤退のリスクもあるため、安易な転職はおすすめできません。入社後に後悔しないためには、スタートアップに転職したい理由や目的を明確にすることが重要です。
転職エージェントに登録・利用する
入社後のミスマッチを避けたい方は、転職エージェントを利用するのも方法の1つです。
転職エージェントを利用すると、書類の添削や面接の練習など、転職について具体的なアドバイスや支援を受けられます。
スタートアップの中でも上場に近い企業や資金調達がある程度完了している企業となると、スタートアップの目利きができる転職エージェントを選ぶことも大切です。
エージェントファインダーなら、スタートアップ企業に詳しく、内定実績が豊富な転職エージェントをご紹介できます。
面接の傾向や過去の質問などを知り尽くした転職エージェントのサポートがあれば、心強いでしょう。
スタートアップ転職に関してよくある質問
スタートアップ転職に関するよくある質問をまとめました。
30代・40代からでもスタートアップ企業に転職できる?
30代・40代も転職は可能です。
エンジニアの世界では、30代後半から40代のいわゆる「課長になる一歩手前」の層がスタートアップに転職する動きが活発になっています。
背景には、2021年以降にベンチャーキャピタルなどによるスタートアップへの投資が活発になり、潤沢な資金をもとに人材投資を行うスタートアップが増えてきていることがあります。
スタートアップ企業は女性でも転職できる?
もちろん女性も転職できます。
スタートアップでは、1人ひとりに大きな裁量権が与えられるため、性別に関係なく活躍できる環境があります。
スタートアップへの転職なら【エージェントファインダー】
スタートアップへの転職では、スタートアップのメリットやデメリットを理解したうえで、「なぜスタートアップに転職するのか」を明確にする必要があり、自己分析の深掘りが不可欠です。転職を成功させるには、スタートアップへの内定実績が豊富な転職エージェントに相談することが近道です。
転職を希望する方はぜひ、【エージェントファインダー】にご登録ください。スタートアップへの転職支援を得意とする豊富なエージェントを紹介させていただきます。