本記事では、半導体を取り巻く市場の動向やキオクシアの仕事内容や求められる英語力について、半導体技術者として働くキオクシア現役社員に取材した内容を、Q&Aのインタビュー形式でお伝えします。
「そもそも半導体って何?」という基礎情報から、キオクシアでの仕事の魅力、半導体技術者に求められる要素など幅広い内容を赤裸々に語っていただきました。 |
インタビュー対象者
キオクシア中堅社員/Aさん
有名私立大学工学部出身/男性 |
目次
キオクシアの志望動機
Q:Aさんがキオクシア(旧東芝)に入社した理由、志望動機を教えて下さい。
A:元々、工学系の勉強をしていて、半導体に関わる分野を研究していました。
せっかくでしたら、最先端の現場で仕事をしてみたいと思い入社試験を受けました。
ほかにも関連する企業の面接を受けた際に「それだったら東芝が良いのかもね」と言われたこともあり、同業他社からも一目置かれた東芝(現キオクシア)に入社を決めました。
当時、日本の半導体メーカーが複数ありましたが、世界レベルで残っているのはキオクシアなど一部だけなので、正解だったのかな、と思っています。
キオクシアの扱う半導体と組織分担
Q:キオクシアはどういった半導体を作っているのですか。
A:キオクシアが扱っている半導体は、簡単に言うと「記憶装置」です。
主力の「NAND型フラッシュメモリー」はスマートフォンやノートパソコンなどに使われる記憶媒体になります。
スマホやPCにデータを保存し、再び起動させてもデータが残っているのは、フラッシュメモリーの働きによるものです。
Q:社内では、主にどういった部署があり、どういった仕事をしているのですか。
A:大きく分けて
- フラッシュメモリーの開発
- フラッシュメモリーの応用製品の開発
で役割を分担しています。
前者はフラッシュメモリーの設計から量産製造、また次世代メモリーの研究開発を担います。
後者はフラッシュメモリーの性能を生かすためのコントローラICチップおよびそれを搭載した応用製品の開発を担います。
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キオクシアの扱う半導体と組織分担
Q:今、フラッシュメモリーにはどういった性能が求められているのでしょうか。
A:重視される要素は大きく2つあります。
- 1つ目は容量当たりのコスト
- 2つ目はアクセス速度や信頼性といった性能
です。
いかに小さく、いかに高性能で大容量の記録デバイスを作るか、といった点がもっとも求められます。
フラッシュメモリーは数年毎に製品世代が更新されており、その度に大容量化、高速化が進められています。
そしてその分、開発や設計が難しくなり、品質に影響が出てきます。
メーカー各社はその点の改良を重ね、競争しているような状況です。
Q:具体的にはどうやって開発、設計をしていくのでしょうか。
A:フラッシュメモリー部門は、主に横浜で開発設計し、四日市工場(三重県)で量産製造をしています。
応用製品部門も同様に開発設計は横浜ですが、量産拠点は台湾や中国、フィリピンなど海外の場合もあります。
自前で開発するものも多いですが、外部、例えば海外メーカーと一緒に開発することもあります。
キオクシアと海外メーカーの協働、求められる英語力
Q:どういった海外メーカーと協働するのでしょうか。
A:部門によって違いますが、例えばプロセス開発だと装置メーカー大手のASML(オランダ)と協業していますし、応用製品ではPHISONやLITE-ON、TSMC(いずれも台湾)と一緒に開発する例があります。
またフラッシュメモリーは設計から製造までウエスタン・デジタル(米国)と協力しています。
Q:海外メーカーとの打ち合わせはどのように行いますか。
A:オンラインや電話会議、メールのやり取りが中心で、互いが出張で行き来する例もあります。
出張はコロナ禍ではほぼなくなりましたが。回数は部署によってまちまちです。
基本的には英語を使います。
Q:英語のレベルはどれくらい必要ですか
A:もちろん、話せれば話せるだけ重宝されます。ただ、最悪メールさえできれば何とかなります。
社内には語学留学の制度(コロナ禍で休止中)のほか、英語のレッスン講座があります。
個人で語学教室に通っている人もいて、皆その辺りは努力していますよ。
周囲を見渡すと、メールでやり取りはできて、最低限の会話はできている人が多いです。
ペラペラ話せる人はさほどいませんし、入社してからの努力で何とかなります。
若手社員は比較的英語ができる人が多い印象です。
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キオクシアの仕事の面白さ
Q:仕事の面白さ、大変さはどういった点が挙げられますか。
A:新しい技術を勉強して、それが仕事に生かさせたときは楽しさ、面白さを感じます。
最終製品についての消費者の評価も気になって、アマゾンのレビューを読んだりして反応を密かに探っています。
大変さは、どの部門も多く共通していると思いますが、生産工程のスケジュールに追われることです。
一つの遅れによって、全体の工程が遅れることになりプレッシャーは大きいです。
スケジュール調整をする部署の心労は特に大きいのではないかと思います。
キオクシア社員の経歴
Q:新卒、中途などどういった学歴、経歴が周囲に多いですか
A:社員全体では新卒が多く、中途採用は3割くらいの印象です。良い意味で日本企業です。
転職してきた同僚をみると、ルネサスやソニーなど半導体メーカーが多いです。
話を聞くと、最終製品は違えども技術的な親和性の高さがあるようですね。
三菱電機、富士通、NEC、パイオニアといった機械メーカーからの転職者も見受けられます。
キオクシアからの転職先はアップル(米国)や海外メーカーの日本法人が知り合いにはいます。
Q:社内での同僚とのやり取りは?
A:部署によって大きく違いますが、横の連携が重視されており打ち合わせは多いかもしれません。
部門全体の打ち合わせから、部署間の打ち合わせなど頻繁にあります。
コロナ禍ではオンラインで主にやっています。
設計部門の多くはほぼ在宅勤務で、健康診断でしか出社しないという人も見掛けます。
コロナ禍で営業系は大変かと思いますが、技術系は今のところ問題なく業務できていると思います。
私は週1~2回の出勤で、朝は10時前後の出勤とゆとりはあります。
半導体技術者に必要なもの
Q:Aさんからみて半導体技術者に必要なものは何ですか。
A:電子回路と半導体の基礎知識、最低限のプログラミング言語の理解は必要です。
語学力もあるにこしたことはありません。
コロナによる影響、半導体市場の先行き
Q:コロナ禍で、世界的な半導体不足と言われていますが、影響は出ていますか。
A:一部で影響は出ていると感じています。
半導体不足の主な要因は、自動車生産に関わるもので直接的な影響はないのですが、製造委託している台湾のTMSCといった企業には、キオクシアからも製造委託をしています。
世界の半導体生産工場と呼ばれるTSMCで遅れが生じると、キオクシアの完成品にまで影響が及びます。
Q:米中貿易摩擦では、ファーウエイ製品の排除が話題になりました。
A:ファーウエイ製のスマホには、キオクシアだけではなく、日本のメーカーが複数部品供給しているので、少なからず影響を受けたと思います。
その分、供給先を新たに開拓してファーウエイの影響を押さえ込む努力をしていると聞いています。
Q:半導体の市場の先行きをどうみていますか。
A:コロナ禍でデータセンターの需要が急増していて、キオクシアのSSDと呼ばれる記録装置の取り扱いも多くなっています。
クラウド上で保存する、といった作業の裏には、データセンターがあってSSDがフル稼働しています。
スマートフォンの需要もしばらくは続きますし、各種統計の通り半導体市場は拡大を続けると思います。
キオクシアは四日市工場に1兆円規模の投資をして新たな工場棟を建設すると発表しています。
岩手県の北上工場も増設します。
NAND型半導体の需要に供給が追いついていない面もあるかと思います。
理由はいくつかありますが、小型化した分、生産が難しくなっているところがあります。
最新設備の工場増設は、そういった点を解消し、増産体制を組むことだと思います。
キオクシアの競合争い
Q:競合との戦いはどうなるのでしょうか。
A:最大手はサムスン電子(韓国)で、キオクシアは現在業界2位の位置付けです。
そのほか、SKハイニクス(韓国)やインテルマイクロン(米国)、YMTC(中国)などとしのぎを削っています。
SKハイニクスがインテルのNAND部門を買収するという報道もありますし、業界再編の動きはあるかもしれません。
個人的に注目しているのは中国のYMTCです。
後発なので現在は後れを取っていますが、技術者を大量に集めまた大規模投資を実施し急速に技術改善されていると聞いています。
ただ、米国で働く同僚の話では、シリコンバレーの技術者らとやり取りしても、日本の技術力は劣っていない。
先行するサムスン電子と比べると、遅れを取っている点もありますが、世界水準から見劣りすることはなく、挽回の糸口は見つけ出せると思っています。
ちなみに、国内の半導体メーカーで言うと、ルネサスエレクトロニクス(三菱電機と日立製作所、NECの半導体部門が統合)やソニーがあります。
ルネサスはマイコンと呼ばれる主に車載向け半導体、ソニーはCMOSイメージセンサーと呼ばれるカメラ向けの半導体のため、同じ半導体メーカーでも競合はしません。
転職先としてのキオクシア
Q:最後に、キオクシアへの転職はおすすめしますか。
A:同僚と話をしていてもキオクシアは「良い会社」というのが共通見解です。
半導体の市場は伸びていて、競合するのも世界の一流メーカーです。
現場の1社員としてもぜひ多くの人にキオクシアに興味を抱いてもらい、希望を持って入社してほしいと思っています。
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